【バラ色の時代】スピンオフ作品。大和の息子たちのお話
読みました。う~んいろいろと考えさせられる作品でしたね。【バラ色の時代】ってまだ感想書いてなかったっけ?と過去記事さがしてみましたがちょろっと触れたとこはあったんですけど書いてなかった・・・。(-_-;)
でもバラ色の時代を読んでなくてもわかるかな~と思いますが、途中に右介が出てきて右介の言葉などを考えたときに、読んでいた方がしっくりくるかなぁとも思います。
いやぁ・・・今回も変わらず歪んでいましたね。恋煩シビトさんの作品はきっと万人受けする作品ではないと思いますが、すごく人のどうにもならない
感情というのをよく表現している作品が多いので。
結果それが受け入れられないな~という人はダメでしょうし、わかるなぁ・・・と思う人には面白いと思います。
今回のこの作品は、一貫して巽・辰吾を主にして読まないとダメですね(笑)弟の智巳がキャラ的に好きになった人にはなんだよぉ・・・・ってなるかも。(※なんだよぉ・・・ってなった人がここにいます(笑))
なので私は何度か読み返してみて、やっとやっぱりこの作品は面白いなぁと。
何となく智巳のスピンオフもきそうではないですか?(好きなので激しく希望)
組長になった智巳はきっとかっこいいだろうなぁ~って思います。
【三色混ざれば黒になる】作品紹介
コミックス版
作家 | 恋煩 シビト |
出版社/レーベル | 祥伝社/onBLUEコミックス |
発売日 | 2015/12/25 |
満足度・オススメ度 | ~ |
内容紹介
内容
その愛はどちらの手に…?
組長の息子・巽は跡継ぎながら、その立場を受け入れられず、
放蕩な日々を過ごしていた。
前作『バラ色の時代』スピンオフ作!
ストーリー | ~ |
胸キュン | |
切なさ | |
エロ |
注意ポイント
【ネタバレ注意】【三色混ざれば黒になる】感想
ヤクザの息子×チンピラ、人間のどうしても抗えない歪み・兄弟愛(ちょっとだけ)・バラ色の時代が好きな人
向けのお話でしょうか。綺麗なストーリーとは言えない描写が色々あります。
それでもこのコミックスが表現したかったのは、自分の歪みを受け入れてくれる人がいて、必死に受け入れようとする人もいて・・・
「歪んだ愛の形」だけれどそれをお互い認めて生きていくことかな~と。
結局は愛されたがりと紹介に書いてあるけれど、愛したがりさんだった気がします。
巽と辰吾
巽は組長の長男。そして母親が巽を猫かわいがりしていますが、それはどうしてかというのは、きっとバラ色の時代を読んだ人ならピンとくるかと・・・。
前作から大事に育ててきたというのはすごくわかります。そして作中にも「組長に似てきた」とあるので余計にかわいいのかもしれません。
母親は夫である大和への愛を子の巽に注ぎ込んできたのだと思います。
父親の大和はストーリーから察するに家にはあまり帰らないようになっているのかな?
巽が成人したら俺の役目も終わり、どこへでも行ってやると右介に言ってましたからね・・・。前作を読んだ私としては右介と幸せにしているのかなとちょっと嬉しかったりしましたが、母親がちょっと不憫だなぁとも思いました。
「私にはこの子がいるから」「私は私の役目をわかってる」
とずっとがんばってきたのかなぁ・・・と思うと振り向いて貰えない人を愛している彼女には少し同情してしまいます。
でも、前作を読み返したらまた違った感じで読むことができて楽しかったです。
しかし・・・前作の巽がこんな感じになったとは~!!!
ストーリーの主軸はこの巽、辰吾、時々智巳です。
辰吾に関しては、チンピラくんですがちょっとクセの強い感じがあります。そして歪んだ性癖の持ち主です。ハイ・・・。ただ、この辰吾と関わることで
巽もある一つの答えを見つけることができたのかなと。
読みながら、もしかしたら辰吾は巽が組の跡継ぎだと知って近づいてるのかな?と思ったりもしたのですが、そういうわけではなかったですね。
しかし・・・辰吾は振り込め詐欺みたいなことをしていたのかしら(-_-;)
裏切った仲間をボコボコに制裁加えたり(これを他人にもやらせることで恐怖感を植え付けているところがすごいです)あまりいい印象の人物ではないです。
巽と智巳
私的にはここの組み合わせもびっくりでしたね。弟の智巳は登場した時から巽の愛情がほしいというよりは、母親の愛情がほしいと私は感じていたので・・・
えっ巽のこと好きだったの?とかなりびっくり。
「組のため」なんとなく・・・智巳にはこのセリフが合っているような。
とにかく智巳は「組」のことを考えることができる人物であり、もしかしたら「組」のために巽を引き留めたかったという気持ちが強かったのかもしれません。
実際、智巳には組員を引き付ける何かがあったようで、巽よりは組長にすごく向いていたと思います。
巽の欲しかったもの
そしてこのストーリーの中で、巽の欲しかったものを与えてくれる人物が誰だったのか、というのもすごく重要になってくると思います。
読み進めていくと、最初は辰吾と出会い一緒にいることで自分の満たされない何かを辰吾が埋めてくれていると感じる巽が描かれています。
「満たされない何か」とは、セリフや状況から察するに「父親(大和)からの愛情」ではなかったのかな?と。
前作以降に大和はそれ程家には帰ってきていないのだろうなというのは察しが付くので・・・
「父親と一緒に寝たことがない」ということを匂わせるセリフもあり、そういうことからも推測することができます。
幼いころからそういう状況で育った巽は、母親からはすごい愛情で育てられていたので余計に父親からの愛情を欲していくようになったのかもしれませんね。
だからこそ、「女性」からの愛情ではなく「男性」と一緒にいるということが巽にとっては重要だったと思います。
でも一方的に与えられるだけではダメだと思っているところもあるのですよね。
与え、与えられる そうすれば足りないところを埋めあえればきっと満たされる
最初は辰吾に対して、辰吾とならうまくやっていけると思ってた巽ですが思わぬ落とし穴がありました。
辰吾の抗えない性
落とし穴というのは、辰吾のどうしようもない「サガ」についてです。辰吾と一緒に生きていくのも悪くないと言った巽に、
オレを何も知らねぇ 愛するってどういうことかわかるか?
どうしようもない性ってやつがあんだよな
辰吾自身、このどうしようもない自分自身の性癖を誰も理解はしてくれない、受け入れてくれはしないと孤独だったというのも確かです。
巽が自分のことを満たしてくれる人物を探していたのと同様に、辰吾もまた、そういう自分のどうしようもない「サガ」を受け入れてくれる人物をずっと探していたのかもしれませんね。
巽への仕打ちは正直ひどいなぁと感じたのですが・・・辰吾は、相手を傷つけることで興奮する性癖なので・・・こればかりは(^_^;)
なぜこんな ひどい仕打ちを?と思っているだろう
俺自身もずっと考えて生きてきた これは性
性ってのは持ってしまったもの 自分では選べねーんだ
俺は自分から逃げられはしねぇんだ・・・
この辰吾の心情を読んだときに、辰吾のことがちょっと嫌だなと思ってた私ですが・・・仕方のない、どしても抗えない自分の性と向き合っていくしかないと思っている辰吾をちょっとだけ応援したいなという気持ちにもなりました。
持ってしまったものは仕方ない、そう思うまできっと色々と悩んできただろうし「孤独」だと言っていた意味もわかりました。
どうしても暴力でしか愛情が示せないのかもしれません。
智巳の大きな優しい手
ボロボロに傷ついた巽ですが、この気持ちを救ってくれたのは智巳だと思います。
俺が守ってやるから
はぁ・・・・(n*´ω`*n)私こういうの弱いんですよねぇ・・・全力で智巳を応援してましたわ☆
なんとなく結末は読めてたものの、巽にこっち選んで欲しい~と願ってしまいました。
智巳は本当に頼もしいし、しっかりと巽にも愛情を注いでくれる人物なのかもしれません。
だけれど、このストーリーの主というか、テーマを考えた時に
巽は自分では埋められない「何か」を与えられ、
そして自分が「与える」ようになりたいと思っているのですよね。
残念ながら智巳はこのことに関しては「完璧」なのです・・・。巽自身が受け入れられていない「組の跡継ぎ」ということもすでに自分の宿命を受け入れているし、人に与えられるほどの強さも愛も持っているのですよ・・・・・。
ずっと「男性」からの愛が欲しい、足りない隙間を埋めてほしいと願ってた巽が、智巳の与えられる「愛」に満足できなかったのはそこなのだと思います。
結局は自分も与えたいのだと。
それは、完璧な智巳に対して与えることではなく、自分しか理解してあげられないかもしれない辰吾に対して与えてあげられて初めて満たされる欲だったのだと思います。
迷いを消し去る言葉
これだけ与えられているのにどこか満たされないと感じていた巽ですが右介と話すことでどこか吹っ切れたようでした。
普通じゃないもの中にはあります でも バラはバラですよ
他のまっすぐに咲いたバラもよく見れば色も形も大きさも全く同じものなんてないという右介。
蕾が歪んでたバラも綺麗に咲くことができる。「一般的」な形じゃないけれどちゃんと咲くことができて、他のバラよりもちょっとだけかわいく感じてしまうと。
ここで巽は長年思ってきたことを口にしたのでしょうね。
どうして「親父だったのか」と。なんであんな奴の愛人なんかをしているのか?と・・・。
そうなってしまったとしか言いようがないと言う右介。
1人だけでも自分を必要としてくれる人がいれば 生きていけるんです
ずしっときますよね。。。前作で何事もなく受け入れてきたわけではないとわかっているので余計に。
右介自身も悩み逃げようとも思ったのですよね。
それでも大和に必要とされているとわかった時、右介自身の迷いも消えたので説得力ありました。
そのためには家族も友人も全部捨てられるという右介に自分勝手だという巽。
そうしてしまうんだ 人を愛してしまうと
この言葉で思い出すのは辰吾のことばかり。
そして辰吾の「おまえはオレを 受け入れられるかな?」の意味を分かったような感じでした。
巽が見つけた答え
また辰吾のもとを訪れた巽。
自分の本質を見せたのに、また戻ってきたというのはどういうことを意味するのか分かっているのか?という辰吾。辰吾自身も巽が戻ってきた真意がわからないでいるのですが・・・
ひどいことをしつつも「逃げたいか?」「また逃げるか?」と聞く辰吾がなんか切なかったです。
あれだけのことをしたのだから、もう戻ってこないと思ってたのに巽が戻ってきたもんだからそりゃ何かあるのかな?とも思ってしまいますよね。復讐に来たと思ったのも納得です。
ですが巽は言うの。
ただ 辰吾に会いたかった ・・・それじゃダメか?
巽自身悟ったのですよね。なぜ酷い仕打ちを?ではなかったのだと。これが、辰吾の人の愛し方なのだと。
きっと誰にも理解されない こいつはこういう風にしか愛せないんだ
ですがですが・・・この2人の行為を見ちゃった智巳が(´;ω;`)ウゥゥ・・・・・。意外にあっさりしてました(笑)もうちょっと食らいつくかと思ってたけどあらら。でした。
母さんも認めてくれるかな
と最後に言っていますので、智巳の空いた穴を埋めるのは・・・巽ではなく結局は母親なのかもしれないと最後の最後で改めて思いました。
人を愛するってどういうことか
みんな誰かに愛されたい、かけた部分を埋めてほしい。そう思って相手を探しているのは確かだと思います。最初は巽もそうでしたよね。
だけれど辰吾と出会って、同じようにどこかぽっかりと穴のあいた人物と付き合い傷つけられてやっと答えが見つかったのだと思います。
お前みたいなやつ 俺しか愛せないだろう
欲しがることじゃなく 与える事を自分の生きる意味にしたい
これが巽の出した「人を愛すること」の答えだったのではないのかな?と思いました。
難しいですねぇ・・・悪い人だ、自分を傷つける人だとわかっているのに惹かれてしまうというのは、こういった「自分にしかこの人を理解してあげられない」という気持ちがあるからなのかもしれませんね。
なんとなく・・・智巳が好きだった私にしてはあ~あ~って感じですが(T^T)
巽×智巳になったらなったで母親がおかしくなっちゃいそうですからね(-_-;)
巽がいなくなったことで智巳が組を継いでいくというのは間違いなさそうです。組員の声をチョイチョイと入れていたのは、これから先組長になった智巳は開花してきっと母親にもしっかり認められる存在になるからなのかな~と♪
智巳もきっと満たされなかった隙間はこれで満たされていくのだと思います。
またまた長くなりましたが・・・なんだか色々と考えさせられるストーリーでした(-_-;)
前作から同様、人間のどうしても抗えない感情をよく表現していたストーリーだと思います。
あとは描きおろしがよかったです。。。辰吾のちょっと満たされた夜でしたね(n*´ω`*n)
なんとなく明るい未来は・・・・予想できないけれど2人ともが気持ちで繋がってて2人なりに幸せに暮らしていてほしいなぁと思います!!!
前作とも
「お前と共に歩む・・・これも俺の人生かな?」
がテーマだったなぁと思ったストーリーでした。
何度も何度も読み、前作も通じですごく味のある面白いストーリーだったと思います。
でもでもすんごく疲れる作品でした(笑)気になる人はぜひ挑戦してみてください。
綺麗な作品が好きな人にはちょっと不向きかな?と思うけれど、人間ってこういうところあるよねぇ・・・と思える作品です。
電子書籍
コミックス版
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