人が再生していくストーリーは心に残る。
上田アキさんの『来たる晴れかけの明日よ』を読んだのでその感想です。絵柄はしっかりとした絵柄で、ストーリーはとても心に残るようなあったかさのあるものでした。
さすがCanna Comics!と思うようなストーリーがしっかりした作品だなぁと。
廃品(オレ)を回収してよ。
廃品回収を営む晴仁と桜次郎。
晴仁の手は、魔法のように修理を施す。
壊れているはずの桜次郎の心さえ、彼の熱い手で背中を抱かれた途端に動き出したほどだ。
そんな時、眠る少年の回収を依頼された。
蘇るかつての真夏日。
あの日、桜次郎は晴仁に廃品として“回収”されて──。
コミックス情報&電子書籍情報
ココがおすすめ
評価
評価項目 | 評価★ |
---|---|
絵柄 | ★★★★☆ |
ストーリー | ★★★★☆ |
エロ | ★★☆☆☆ |
独自性 | ★★★★☆ |
ストーリー設定・テイスト
注意ポイント
以下感想です。ネタバレにご注意ください。
来たる晴れかけの明日よのGoodポイント&好きなところ
こちらはカンナさんで連載していた作品ですね。雑誌の方で読んでいましたが、正直なところ雑誌掲載時にはさほど興味がなかった作品でした(;'∀')それでもコミックスで通して読むと面白かったですね。
ストーリー的には「う~ん」がところどころあるものの、読後感も良く、とてもいい作品であったと思います。好きなところをあげると・・・まず絵柄、そしてストーリー構成、そして読後感かなぁと思います。
絵柄が魅力的
上田アキさんはディアプラスでも前後編で作品掲載ありましたね。とても絵柄が素敵だと思います。人物に関しては線が多めの印象がありますがその分背景はすっきり、余分な線がなく読みやすいです。
そして・・・たれ目黒髪・つり目・白髪(?金髪?)の組み合わせで描かれる傾向にあるようです。
どちらかといえば今回の桜次郎のようにスッとしたツリ目の男の子が美しくて好きです♪桜次郎がツンな印象なのに赤面したりしてとても可愛らしく思えて、晴仁はちょっとつかみどころのない人だったかな(笑)
ストーリー展開・構成について
ストーリーに関しては、現在からのスタートです。そしてある人からの廃品回収の依頼で過去のストーリーに戻っていきます。
過去のストーリーもまるまる1話使って出会いから桜次郎が晴仁を意識するまでとても手に取るようにわかってドキドキしました(n*´ω`*n)
まさか桜次郎の方がラブだとは・・・という感じでしたね。
構成については、現在から過去、そして種明かしのような感じで進んでいくのでどの話も見逃せないです。
ただ・・・・ここら辺ストーリー設定としてはいらないかなぁ?と思うところもあり・・・・マス。
それにしても桜次郎のお父さんがわけわからないのでここら辺は読んでて不快に思う人もいるかと思います。
ついでに言えば・・・桜次郎の父親と結婚した次の人もちょっとおかしいのかな・・・?廃品回収という設定だけれども、二度までも「人」を出してはいけないと思うの・・・・・・・・・・・。
あとは、桜次郎が廃品回収に出されたクマのぬいぐるみを自分が大事にしたいと思っている描写がとっても良かったです・・・。これはきっと晴仁に必要とされて大切にされてきたから抱くことができた感情なのかなぁと。
すごくここら辺はほのぼのして桜次郎が少しずつ変化していっている場面でキュンとなりました。
桜次郎も捨てられた身だから、いつまでいていいのだろう、次はまた捨てられるのかなと不安だったと思うんです。でも晴仁はいつも笑顔で自分に居場所を与えてくれる。ここら辺の関係がとても良かったですね。
更に、桜次郎だけが与えられてばかりかと思いきや・・・・最後の最後で実は晴仁もきっと桜次郎の存在で救われたところもあるのだとうなぁという会話が・・・・。こういう展開大好きです。
それぞれが一緒にいることで今まで埋まらなかった溝が埋まっていくカンジ素敵です。
晴れ晴れした読後感
途中のストーリーはちょっと暗い感じの場面はあったものの・・・・読後感はすごくいいですね。2人がイチャイチャしている描き下ろしから・・・・晴仁の告白、そしてそして買い物袋で隠しながらの手つなぎ・・・・萌えます。
おじいさん(どっかの)が言ってたように、晴仁にとっても桜次郎との出会いは生涯に一度のようなハレの日だったのかなぁってすごくすごく良かった・・・・。
マイナスポイント
ストーリーで桜次郎が廃品回収で捨てられた子というのが分かるのですが・・・ここら辺は桜次郎が投げやりになってお父さんの言う通り廃品回収場にいたのだと・・・まだここまではいいです。
いいですが・・・・さらにまた結婚した相手の子を捨てようとするお父さん、これはちょっと酷いといいますか・・・・
そもそも廃品回収に【人】という設定はあまりよろしくないと思うんです。
それならばまだ桜次郎自らそうした・・・の設定の方が良かったです。お父さんが意味わからないし、その結婚相手もそれでいいの?と。起きなくなったって言って不良品のような扱いはやはりダメではないかしら。ここら辺はすごく不快感が(;´・ω・)
そして・・・・なぜに目を覚ましたΣ( ̄□ ̄|||)そしてその後のあれよあれよと収まっていく感じ・・・・これは設定的に必ず必要だったのでしょうか?もっと違う設定でお願いしたかったなぁ~と思わずにはいられませんでした。
2度も子を捨てようとした父親が、目を覚ました途端にかわいがるような描写はちょっとね・・・胸が痛いです。お母さんもわが子を廃品回収に出してそれでいいの!?!?と。。。
桜次郎もね・・・お父さん自身の息子でなくそれが嫌だったののならば廃品回収になど出さずに「一人暮らししろ」と追い出した方がよかったのではないのかしら?桜次郎がどうして自分のことを不良品だと思うようになったのか、そこらへんも描写的には薄いのでちょっとこのあたりは感情移入ができませんでした。
どちらが攻か受か謎(笑)
これ知りたいんですよね・・・どちらが攻?受?やっぱり桜次郎が攻でしょうか(n*´ω`*n)ディアプラスの前後編作品のほうでは黒髪・たれ目くんのほうが「挿れる側」っぽかったです。
だからまさか・・・まさか晴仁の方が攻?と思ったり。
いや・・・この2人はずっと擦りあって満足するタイプかもしれない(*ノωノ)またどこかでこの2人が読めたらいいなぁ~なんて思ったりもします。
そして上田アキさんの男×男!みたいな感じの絵柄がすごく魅力的で新しい作品もぜひ読みたいなぁ~と思いました。どちらもガッチリとした男の子なので読んでて楽しいです。
カンナさんのVol.50にお名前があったのでこれからは特に注目してチェックしてみたいです♪
「人を廃品回収に出す」という設定にちょっと目を閉じてさらっと流して読める方ならきっと面白い作品ではないかな?と思います。
この箇所さえクリアすれば、廃品回収に出されたボロいモノが晴仁の手によって生まれ変わるように、晴仁の元へ来た桜次郎が再生していく姿も読めるので面白いです。
お父さんの件はもう少し・・・もう少し詳しく描くか、もういっそのこと省いたほうが良かったかもしれないなぁとほんとここだけがこのコミックスでもったいないところですね・・・。
ということで感想でした♪
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