麻生ミツ晃さんの【リバース】コミックス版の紹介です。バラ・単話配信で読んでいた作品のコミックス版が出ました。
こちらも本当にハマった作品。さすがはストーリーテラーと言われる麻生さん!オメガバースにサスペンス要素を含み、α×Ωとみせかけたα×βの組み合わせにゾクゾクしました。
切なくも美しい二人の想いにぎゅっとさせられます。
【俺がΩだったなら、お前を幸せにできたのにー】
全ては優しい嘘からはじまる・・・そしてその嘘がバレたとき二人は・・・・!?
【リバース】作品紹介
コミックス版
作家 | 麻生ミツ晃 |
出版社/レーベル | 海王者/GUSHコミックス |
発売日 | 2020年03月10日 |
満足度・オススメ度 |
内容紹介
内容
小説家の円と警察官の吐木は、同じ施設で育った“同志”で“番”。円はフェロモン分泌が異常で番以外の人間もそのフェロモンを感知してしまう上、番関係を結んだことで遺伝子変化が起こり、一般の抑制剤も効かなくなっている──そう、振る舞っている。何も知らない吐木は円を支える為と出世を蹴り続け、所轄への異動初日に担当することになったのは、Ωを狙ったレイプ事件。そんな中、円は発情期に入り強烈なフェロモンを発しながら吐木を求める──まるでΩのように……
全体評価
ストーリー | |
胸キュン | |
切なさ | |
エロ |
注意ポイント
【ネタバレ注意】【リバース】感想
リバースという文字を見た時、最初は「reverse」だと思って読んでたので・・・何かがひっくり返るとか、立場が逆転するとかそんな事を予想してました。
でも・・・後半でこれって「Re Birth」なんじゃないのかな!?と思ったら!!!普通に書いてありました(笑)Re:birthって。
再生というか、新しく生まれ変わるみたいなメッセージはちゃんと作中にありました。本当にいつもいつも感心させられます。
タイトルが深い。
「彼が眼鏡を外すとき」もそうだったのですが、気づいた時のゾクゾク感。ほんとたまらない。
オメガバース×ミステリー素晴らしかったです。
今作はなんと!300P近くあります。なので少しお値段はするのですが、それ以上の満足度が確かにあった作品でした。
始まりは優しい嘘から
吐木幸村(α)は両親を事故で亡くし施設へやってくる。そこで出会ったのが化野円(えん)。
成長していくに従ってαの性質を感じさせるようになる吐木。円はというと・・・βだったのだけれど、ある日吐木が発情したΩが連れ去られるのを目撃。男達を追いかけたところで自分もラットを起こしそのΩを襲ったという事件が起る。
意識混濁し、状況をはっきり覚えていない吐木はそのΩを噛んでしまったと思い込んでしまう。
その状況が・・・円に嘘を吐かせることになってしまうのよね。きっかけは自分の吐木への想いと優しさから。
襲われた相手の外見が円に似ていたことから思いついたのかもしれない。
円は噛まれたのは自分だということにし、吐木は自分を助けただけだと優しい嘘をつく。。。
これが円を苦しめていくことになるの。
円はこの日を境にΩとして生きることになるのですが。。。読んでるとお互いすごく惹かれあってるのがわかります。
αとかΩとかβとか抜きにしても・・・本当に二人はお互いを大切にして惹かれあってる。読んでてすごく切ない気持ちになります。
そういった第3のバースがなければ・・・きっと純粋に好きだと言い合えた二人なのかもしれない。
「俺がΩだったなら、お前を幸せにできたのにー」
この作品の魅力は・・・αだからとかΩだからとかβだからとか・・・ヒエラルキーはあるけれどそれぞれが悩み満足などしていないのですよね。
Ωになりたいβ、αなのに無力を感じてるα・・・αになりたいβ・・・今まで読んできたオメガバースとは本当に全く違うテイスト。
でもそれはどう足掻いても変わらない性でもあるの。吐木と円には絶対に幸せになってほしいと思いつつ・・・すごくハラハラドキドキしました。
Ωとしての円
円は吐木がラットを起こし、入院している間にΩになることにします。
βがΩになるには大きな問題が4つ。
- うなじの噛み痕
- 発情期にはお尻が濡れる
- 発情期
- フェロモンの匂い
①は刺青で、②はカプセルにローションを入れる(時間差で溶けるようにする)③は慣れるしかない④が一番難しく、自分と吐木用に香水を調合。
これで大丈夫かな?と思ったのですが・・・ここはさすがだなぁと思った設定が。
Ωを襲った事に対する怖さで吐木はα用の抑制剤を服用しているの。
だからフェロモン自体を感じにくい状態に自らしているという。だからフェロモンで自らがラットを起すことがない状況に持っていってるのですね。
それに・・・吐木は円に対してかなりの執着と好意を持ってる。信頼もしてる。
円が発情している風に見えるのならば疑わなかったのでしょうね。この辺りは本人の性格や設定をうまく利用して無理なく展開しているのがさすがだと思いました。
麻生さんはやっぱりスゴイ。
番になってしまえば番にしかフェロモンは感じられない筈ではあるのですが、ここもフェロモン分泌異常ということでやり過ごしています。
(※円は病院にかかれないので、そこもうまく利用しています)
事件
この作品は単純にオメガバースとしての魅力だけではなく・・・事件とともにストーリーが進行していくのもドキドキしました。
連続Ωレイプ事件との関連を捜査する吐木。そこ円も巻き込まれていくことになります。
犯人はお前か!とびっくり。
ここは犯人ネタバレしちゃったら面白くないので是非読んでみてください。
ヒントは・・・犯人はαになりたかった人物です。
どうして事件に円が巻き込まれていったかというと、犯人はαになりたいという気持ちを吐木になりたい、に変化させてしまったから。
犯人と吐木が対峙したときは・・・吐木が撃たれたかと思ってえぇぇぇ~(T^T)ってなりました。焦りましたヨ・・・。
ラストまでドキドキを引っ張るのはさすがでした。
俺がΩだったなら、お前を幸せにできたのに
この円の気持ちがすごく切なかった。最初は吐木を守りたいと思ってついた優しい嘘。
でもその吐木が自分を番だと信じ込み、大事にすればするほど罪悪感に苛まれていくことになるの。
吐木と円は絶対番にはなれない関係性。
αであれば、合った瞬間惹かれあるΩも吐木にはいるのかもしれない。
自分は偽物であって、埋められないものがある。
円が思うのは・・・吐木の幸せ。彼に「運命」がいるのなら・・・彼に安心を与えて欲しいと願う円が本当に切なくて。
自分自身はどう足掻いてもそれになることはできないですもんね(T^T)
吐木は両親を事故で亡くしていて、大切なものへの執着がスゴイの。もう絶対に失いたくないっていう感情が強い。
だからこそ、円に執着し手放すことなど考えられなくなってます。
「自分の番」という安心感が吐木には何よりの安定剤なのだと思う。でも・・・円にとっては自分の嘘で吐木を縛り付けてると感じてしまうのでしょうね。
だから番解消して欲しいと言ったり、吐木は彼氏でも旦那でもないと言ったりそっけなくしたり。
でも、吐木は他の誰とも円と自分のようにはなれるとは思わないって言ってます。
吐木は円がΩだから好きってわけではなくて、「円」が好きなのよね。順番が違ったというか・・・これもタイミングの問題で本当に切ない。
きっと円がΩだと嘘をつかなかったら・・・βでも吐木は円と一緒になってたと思う。
βであるとバレたとき
連続Ωレイプ事件?の犯人がつかまります。
その時巻き込まれた円は・・・自分の居場所を知らせるために持っていた紙とペンで火をおこすのですが・・・
目覚めたのは病院のベッドの上。煙を吸ったのと、火傷を負っていました。
病院なので入院するときにバースも調べられたようで・・・βだと吐木もこのとき知ったようです。
吐木は円がΩになった日は、過去に自分が入院したタイミングしかないと色々調べたと言います。
円は小説家で自分のパソコンに色々かき込んでいたのですが、それは吐木には見せないようにしていたの。ただ、パスワードの暗証番号は誕生日だということはポロっと話してしまったようで・・・
吐木はこのΩになった日をパスワードに入力し解除したようです。
そこには今までの事が書かれていて、事実を知ることに。このときの吐木は・・・もう随分と大人になり色々と大丈夫になってました。
だから・・・円の嘘は全く無意味だったなんて思わなくて。
高校生の吐木だったらどうなってたか。円が近くにいて守ってきたからこそ今の吐木がいる。
円ってほんと・・・優しい子だと思いました。そして気持ちを口にはしないけれど、吐木の事を大好きで大切にしてる。
βであるとバレたときにやっと・・・
「お前のΩに生まれたかった」と言った円にウルっときてしまいました。
「俺の運命はお前だ」って返す吐木にギュってなるし・・・後半の二人には心臓がギュギュ~ってなって辛かったです。
結局・・吐木と円って第3のバース以上の繋がりがあったと思います。
吐木は・・・きっと高校生の時にラットを起して襲ってしまったΩの子の事も忘れずに円を大切にしていくのだろうな・・・
円がβとわかり、二人の間に秘密がなくなってから本当に・・・心から愛しあえる二人になったと思えるラスト。
どんなに切ない展開でもラストのあったかさはさすがでした。
コミコミ特典の描き下ろしリーフレット
今回はコミコミさんで有償特典を購入しました。
3枚の複製原画と描き下ろしリーフレット★
描き下ろしリーフレットはその後の二人・・・だと思います。(ちょっと円に火傷の痕がないので不安ですが)
吐木がαである以上は・・・「運命の番」という見えないΩに不安になることもあると思う。
でもずっと二人には幸せでいて欲しいです。
運命の番は吐木にはいない、現れないよね!だって・・・普通は一生かけても会えない人のほうが多い(設定)のはずだから!
感想まとめ
いやぁ・・・オメガバースでこのような作品が読めるとは!すごく面白かったです。
なかなかβが軸になる作品は多くはないのですが、、、その中でも群を抜いて面白かった!どちらも優しい。
切ないけど本当に優しさに溢れた作品だったと思います。
円が嘘から解放されたのも良かったです(T^T)
そして事実がわかっても変わらず隣にいる吐木・・・吐木は施設に来たときのエピを読むと分かると思うけれど、そもそもバースがわかる前から円が好きですからね。(そう思える)
二人がちゃんとくっつくのには時間がかかったけれど、これからうんと幸せになって欲しいです(*^_^*)
面白かった!!!すっごく読み応えありました★
電子書籍
コミックス版