堕ちた人生にさす光。本当はもう一度信じたい・・・・。
キタハラリイさんの作品です。けっこう暗かったですが、攻くんの一途さにキュンとなった作品です。
個人的にはジェラテリアスーパーノヴァのほうが作品としては好きかな?と思ったのですが・・・こちらはちょっとアダルトな感じ。
元AV男優のフリーターと、ひとまわりも違う大学生くんとの純愛系ストーリーです。
純愛系なのですが取り巻く環境はわりとダーク。というのもやはり元AV男優とあるのですが、このAV男優になったことも切ないしその後も切ない。
だけれど、大学生くんと出会ったことで諦めてたものからまた向き合おうとするのは良かったと思います。
コミックス情報&評価
コミックス
評価項目 | 評価・★ |
---|---|
絵柄 | ★★★★☆ |
ストーリー | ★★★★☆ |
エロ | ★★★☆☆ |
独自性 | ★★★★☆ |
内容紹介
映画館でバイトとして働く、元AV男優の澄川螢、35歳、フリーター。澄んだ川に蛍だなんてうすら寒い冗談の様な名前に、“綺麗”なんて言葉とは相容れない至極どうしようもなく堕ちた人生。毎週日曜日のレイトショー、螢の働く映画館にやって来ては螢のことを「ほたるさん」と呼びやたらと懐いてくる一回りも年下の男・岡崎準太に“綺麗”だの“一目惚れ”だのと言われつい口を衝いて出た言葉……。
「僕ね、今の映画館でバイトする前はゲイビに出てたの バリネコでハードなやつ」
綺麗だなんて 何も知らないくせに 馬鹿馬鹿しい――。
※電子限定で描き下ろしの4ページ漫画が収録されています。
※ワタクシはRenta!さんで読みました。
注意ポイント
はきだめと鶴の感想は以下より。感想にはネタバレ含みます
はきだめと鶴:Contents
- はきだめと鶴 1話~6話
- 雀の千声 鶴の一声
- ※【全235ページ】(Renta!数え) 7チケ
作品のハイライト&感想
この作品はわりと暗いお話です。暗いところから「螢」という名前のようにほんのり輝る、そんなストーリー。暗闇を照らす光に戸惑いながら、それでもその光を本当は探し求めているような・・・・。そんな作品だったように思います。
若干、この作中に出てきた波柴さんというんが何をしたかったのか、本心はどこにあるのか・・・矛盾があってイマイチわからなかったけれど・・・もう少し何かあればよかったかもしれません。
波柴さんは結局蛍さんの事を好きだった?と思える描写もあるけれどなんかここは不完全燃焼。
波柴さん目線でもう少しだけどうしてあんな行動をとったのかそういった描写があればもっと入り込めたかもしれない・・・。
作品を通しては、表題作のみでしかも200P超えというところで読み応えはあります。ありますが・・・暗めでシビアなストーリーなのでここは好き嫌いが分かれそうですね。その分岡崎くんの存在は甘さを与えてくれます。
どうしても手に入れたい
この作品を通して思ったのは、岡崎くん、螢さん共にどうしても手に入れたかった人がいたということ。岡崎くんはもちろん「螢さん」なのですが、その螢さんもまた過去に大好きな人がいたんですね。
この好きな人絡みで騙されてAV男優になってしまった彼・・・・。その過去話はとても切なかった。
組長の堯(たかし)に出会ったことで螢さんの人生がガラリと変わってしまったんですよね・・・。初めて好きになった人に健気な彼はすごくかわいらしかったけれど・・・その後がなんというツライ人生だったんだろう。
だからこそ、岡崎くんと出会ってもう一度人を好きになり、一緒にいたいと思えるようになった展開はすごく良かった。
それに螢さんばかりじゃなくって、岡崎くんもまた必死になれる人に会えてよかったのだろうなとも思う。きっとこの2人の出会いはお互いの人生観を変えるような、そんな出会いだったのかもしれませんね。
無一文になったとき、ホッとした
ストーリーを読んでてとっても印象深かったところです。若い時に出会ったから、年をとっていくにしたがって堯が自分のところに徐々に来なくなってしまったんですよね。
年をとっていくことへの恐怖・・・・。
なんだかわかるなぁと思ったりも。いつ捨てられるんだろう、そんな気持ちをもって一人彼が来るのを待っていた時どれほど不安だったろう?
だからこそ、何も無くなったときにほっとしたという螢。何もかも無くしたことでやっと現実を受け入れる事ができて今の自分と向き合う事ができたのかもしれない。そして出会った岡崎くんは・・・そんな螢がキレイだというんです。
もう人生を諦めているような螢をそれでも「キレイ」と。キラキラした目で見られたらそりゃ気にならないわけないですよね。自分が本気で人を好きになった時と岡崎くんの年齢も近いから重なって余計に無下にはできなかったのかもしれませんが。
自分の悲惨な過去や思いを話しても結局は離れていかなかった岡崎くんを好きにならないわけがないなぁと読みながらキュン。キュンはあったけれど・・・・この作品は切なさが大半を占めているかもしれませんね。
いわば・・・「はきだめ」の部分が多く描かれている。だからこそ・・・・少しの光の部分がとても際立って見えるのかもしれません。岡崎くん、螢という主人公たちの他・・・波柴さん大野さんというちょっとゲスい人物も登場したりキツい場面もあるけれど・・・読後感は描きおろしのほんのり甘い部分が後を引きとても良いのではないのかと思います。
はきだめと鶴
最初・・・このタイトルを見たとき、は・・・はきだめ?と思いました。「掃き溜めに鶴」というのは故事ことわざにもあるんですよね。
掃き溜めに鶴とは、つまらないものの中に飛びぬけてすぐれた者や美しい者がまじっていることのたとえ。
これは堯が最初にホストなのに吐きまくっていた螢を見かけて話しかけたとき・・・・振り向いた顔が美しくて言った言葉です。ずっとずっと螢は自分の名前が嫌いで、自分ははきだめの中の人物だと思っているんですよね。
それが岡崎くんと出会ったことでこの感情が変化していったのはとても良かった。
「綺麗だなんて何も知らないくせにばかばかしい」
なんて冒頭で思ってた螢さんが終盤、岡崎くんと涙ながらに抱き合いながら
「誰かの鶴になりたい」
そう思うようになります。ここはすごく良かった!!!こういう変化は読んでて本当にぐっときました。
はきだめと鶴 感想・まとめ
脇役の大野さん・波柴さん・・・特に大野さんが何がしたかったのかちょっとよくわからなかったです。。。もっと引っ掻き回す人かと思ったらそうでもなかった(笑)波柴さんはやはりもう少し波柴さんサイドの描写が欲しかったですね。
全体的に重いストーリーではあるけれど、傷を負った者が誰かと出会う事で変わっていくというストーリーが好みな方は気に入るのではないでしょうか。ただし・・・元AV男優という事を踏まえて読んでくださいね。
ストーリー自体は綺麗ですが、設定は綺麗ではありません。ツライ描写もでてきます。
きゅん多めのストーリーがいいという人は、キタハラリイさんのジェラテリアスーパーノヴァがおススメです(o^―^o)
年の差BLでしたが、この若さでグイグイ押されていく感じが良かったですね。ある程度30代とかで落ち着いた人であれば、きっと螢さんの過去は消化できなかったと思います。ちょっと設定的に好み分かれるストーリーではありますが、重めのストーリーが好みの人はぜひ読んでみてください。
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